反社会勢力とETCカード:知っておくべき事実と法人ETCカードの選択肢
「反社会勢力や暴力団はETCカードを作れないの?」というご質問をいただくことがあります。この疑問、実は多くの方が気になりながらもなかなか聞けない内容かもしれませんね。
ETCカードと反社会勢力の関係
ETCカードは現代の高速道路利用に欠かせないものとなっていますが、実は全ての人が平等に利用できるわけではないようです。特に反社会勢力や暴力団関係者については、特別な制限が設けられています。
なぜ反社会勢力はETCカードを持てないのか?
反社会勢力がETCカードを持てない主な理由は以下の通りです:
- ETCカードの多くはクレジットカードと紐づけられており、クレジットカード会社は暴力団排除条項を設けている
- ETCパーソナルカード(パソカ)の場合、高速道路会社が明確に暴力団関係者の利用を拒否する規約になっている
- 暴力団排除条例や社会的要請に基づく対応として、各企業が反社会勢力との取引を制限している
これらの制限は、社会全体で反社会勢力の経済活動を制限し、その勢力を弱体化させる取り組みの一環とも言えるでしょう。
実際の裁判事例
実際に暴力団関係者がETCカードを巡って裁判になった例があります。
中でも注目すべきは、六代目山口組の直系団体「秋良連合会」会長の事件です。
この事件では、家族名義のETCカードを使って不正に高速道路料金の割引を受けたとして、電子計算機使用詐欺罪に問われました。大阪地裁での判決では、懲役10月(求刑は懲役1年6月)の実刑判決が言い渡されています。
判決のポイントは以下のようなものでした
判決のポイント | 内容 |
---|---|
ETCカード規約違反 | 名義人以外の使用を禁じていることが規約やカードの裏面で明確に示されている |
常習性 | ETCカードを持てないことを自分で認識しており常習的に違反していた |
暴力団排除条項の潜脱 | 暴力団排除条項を潜脱する目的で他人名義のカードを使用していた |
悪質性 | 組長と運転手が弟のカードを頻繁に使っていた |
この判決は、単に家族間でETCカードを貸し借りしただけでなく、暴力団排除条項を意図的に回避する目的で繰り返し使用していた点が重視されたようです。
裁判では弁護側が「家族間の貸し借りは多くの人がやっていること」で、それが罪に当たるとなれば「社会は犯罪者であふれる」と主張しました。また、民間会社に委託したアンケートで4割近くが「ETCカードを他人に貸したことがある」と答えたことも指摘しています。
しかし裁判長は、暴力団組織の捜査をする中で容疑が発覚し道路会社が被害届を出した経緯に触れ、「組員という一事をもって起訴したとはいえない」と判断しました。つまり、暴力団員だからというだけでなく、悪質な規約違反があったと認定したのです。
ちなみに、
2025年41月 この事件については無罪判決が出たようです。
ETCパーソナルカードを巡る民事訴訟
ETCカードを巡る問題は刑事事件だけでなく、民事訴訟でも争われています。
特に注目すべきは、クレジットカードを持たない人でもETCを使える「ETCパーソナルカード」の会員資格を暴力団員であることを理由に取り消されたのは「不合理な差別で違憲だ」として、愛知県の暴力団幹部が高速道路6社と国に取り消しの無効確認などを求めている訴訟です。
この訴訟では、以下のような論点が争われています
論点 | 暴力団側の主張 | 高速道路会社側の主張 |
---|---|---|
移動の自由 | 高速道路は公共インフラであり、移動の自由を制限するのは違憲 | 一般道路での移動は制限していない |
不合理な差別 | 公共性の高いインフラから排除するのは不合理な差別 | 暴力団排除は社会の要請であり違法ではない |
代替手段 | 高速道路利用が相当程度妨げられる | ETCレーンのサポートレーンなど代替手段がある |
この訴訟については、まだ結論は出ていませんが、暴力団排除と公共サービスへのアクセスという観点から、今後の動向が注目されます。
ETCカードと暴力団、反社会勢力の人の間には多くの問題があるようです。
表に出ている内容を見ている限り、かなり厳しい動きに見えます。
今の時代、ETCを使えないのは高速道路を使えないのと同じです。普通に高速道路での利便性、割引を受けられないのは人権を否定されるような内容に見えますがどうなのでしょう。
どうにかETCカードを使えないものでしょうか?
以下に出てくるETCカードもも、
反社会勢力の方は申し込みできませんが、ETCパーソナルカード同様にクレジット審査がないETCカードとして紹介しておきます。
法人ETCカード クレジット審査なし
ETCパーソナルカードの法人版という位置づけともいえる法人ETCカード
その特徴はクレジット審査がないことです。
法人ETCカードとは?
法人ETCカードとはクレジット審査なしで発行できるETCカードです。
個人事業主でもOK、開業したての法人でもスピード発行OKというものです。
法人ETCカードは、企業や団体向けに発行されるETCカードで、以下のような特徴があります
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特徴 | 説明 |
---|---|
発行対象 | 法人(企業・団体)向け |
使用者 | 複数の従業員が使用可能 |
クレジットカード | 法人名義のクレジットカードと紐づけるタイプが多い |
後払い方式 | 高速道路料金を使用後にまとめて支払うことが可能 |
法人ETCカードの最大の特徴は、発行後は複数の従業員が使用できる点です。
これにより、個人名義のETCカードでは難しい柔軟な運用が可能になります。
法人ETCカードとクレジット審査なしの選択肢
法人ETCカードの中には、クレジット審査なしで発行できるタイプもあります。
これは特に新設企業や信用実績の少ない法人にとって魅力的な選択肢となっています。
クレジット審査なしの法人ETCカードには以下のようなタイプがあります
タイプ | 特徴 | メリット |
---|---|---|
保証金(デポジット)方式 | 一定額の保証金を預けることで発行 | クレジットヒストリーがなくても発行可能 |
前払い方式 | 利用前にチャージする方式 | 使いすぎ防止、予算管理がしやすい |
協同組合方式 | ETC協同組合経由での発行 | 審査基準が比較的緩やか |
特に注目したいのが「ETC協同組合」を通じた法人ETCカードの発行です。
この方式では、協同組合に加入することで、通常よりも柔軟な条件でETCカードを発行できる場合があります。
ETC協同組合の法人ETCカードのメリット
ETC協同組合を通じて法人ETCカードを取得するメリットは以下の通りです:
- クレジット審査がないため審査が金融系より緩やかな場合がある
- 設立間もない企業でも発行できる可能性が高い
- 複数の車両に対して効率的にカードを管理できる
- 利用明細が詳細に提供され、経費管理がしやすい
- 組合を通じた各種サポートが受けられる
特に中小企業や個人事業主の方にとっては、ETC協同組合の法人ETCカードは検討する価値のある選択肢と言えるでしょう。
ETC協同組合の利用方法や口コミなどこちらで解説しています。
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法人ETCカードと反社会勢力の関係
ここで気になるのが、法人ETCカードと反社会勢力の関係です。
先ほど個人のETCカードでは反社会勢力に制限があるとお話ししましたが、法人ETCカードの場合はどうなのでしょうか?
結論から言うと、法人ETCカードについても基本的には暴力団排除条項が適用されます。
多くの発行会社や協同組合では、申込時に反社会勢力でないことの確認を行っており、暴力団関連企業には発行を拒否する権限を持っています。
ただし、法人ETCカードは発行後に複数の使用者が利用できるため、カード自体が発行された後の使用者のチェックは個人カードほど厳密ではない場合もあります。
法人カードだからといって違法行為が許されるわけではないのです。
高速道路会社の対応と今後の動向
現在、高速道路会社はETC専用化を進めており、将来的には一部のインターチェンジがETC専用になる可能性も示唆されています。こうした動きの中で、反社会勢力のETCカード利用制限は今後どうなっていくのでしょうか。
高速道路会社の主張によれば、ETC非対応車の料金徴収方法も検討中であり、誤進入車を誘導するサポートレーンを使えば、ETCパーソナルカードがなくても利用は可能としています。つまり、完全に高速道路の利用を禁止しているわけではないという立場です。
一方で、利便性という観点からは大きな差があるのも事実です。
今後も暴力団排除と公共サービスへのアクセスのバランスをどう取るかという議論は続くでしょう。
まとめ:適切なETCカード選択のために
今回は反社会勢力とETCカードの関係、そして法人ETCカードについてお話ししました。
この問題は単なるカード発行の話ではなく、社会における暴力団排除と公共サービスへのアクセスという大きな問題に関わっています。
一般の企業や個人事業主の方々にとっては、クレジット審査なしで発行できる法人ETCカードは有用な選択肢となるでしょう。特にETC協同組合を通じた発行は、通常より柔軟な条件で利用できる可能性があります。
詳しくは「ETC協同組合」の解説ページをご覧いただくと、具体的な申込条件や必要書類などがわかりやすく解説されています。高速道路を頻繁に利用される企業の方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ETCカードは単なる決済手段ではなく、ビジネスの効率化や経費管理の改善にも役立つツールです。自社の状況に合わせて最適なETCカードを選択し、ビジネスをよりスムーズに進めていきましょう。
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